企業活動とは、会社の営みのことである。
日本の会社は、基本的に
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
の 4 つに分類される。
IT パスポート試験では、主に株式会社に関する知識が問われる。
# 株式会社
株式会社とは、株主にお金をだしてもらい、株式を発行して資金を調達し、事業を行う会社形態である。
出資者は「出資した金額」に応じて利益を受け取る。
株式会社には主に三つの登場人物がいる。
- 経営者:会社の経営を行う人
- 社員:会社で働く人
- 株主:会社にお金を出資した人
会社に対して、もっとも重要な概念の一つは経営理念である。
経営理念とは、会社の運営を決定するためのもっとも基本的、かつ大切な指針である。
経営理念に反する活動はすべて誤りだと判断してもよい。
言い換えると、経営理念は会社の存在意義を示すものである。
企業活動は経営理念の他にも、ビジョン、ストラテジなどの概念がある。
簡単に言うと
- ビジョン:会社が目指す将来の姿
- ストラテジ(経営戦略):会社がビジョンを実現するための方針
英語:
- Vision:未来像、展望
- Strategy:戦略
# 会社の責任
株主は出資することで、会社の経営を経営者に任せる。経営者は株主の意向に沿って会社を運営する必要がある。
その「株主の意向」を決める場所が株主総会である。
株主総会は、株主が集まる会議であり、会社の最高意思決定機関である。
まだ、全体的に考えても、会社は社会的な責任を持つ。
もちろん会社に対して、企業活動ももっとも重要な目標は利益の追求であるが、利益を追求することで公害、偽装などの悪影響を及ぼすこともある。
そのために、会社は ++ 企業の社会的責任(CSR)++ を果たす必要がある。
CSR:Corporate Social Responsibility
この用語は試験によく出る
- グリーン IT (Green IT):地球環境に優しい IT のこと、省エネなど
- ダイバーシティ (Diversity):多様な人材を活用すること、人種、性別、年齢、障害の有無などに関係なく
- ソーシャルビジネス (Social Business):子育てなど社会的課題を解決することを目的としたビジネス
- SDGs (Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標(17 の目標)
# 経営資源
会社は、経営するためにもちろんいくつかの資源が必要である。
- ヒト:人材
- モノ:製品、設備、土地など
- カネ:資金
- 情報(チエ):市場情報、技術情報、顧客情報など
四つの資源の中に、もっとも重要なのはヒトである。
ヒトはほかの資源と最大の違いは、訓練と教育で成長できることである。
HRM:人的資源管理とは、人的資源を有効に活用することである。
HRM:Human Resource Management
ここで、AI や loT などの技術を活用して、人材を管理することを HR テクノロジーという。
訓練するには、主に二つの方法がある。
- OJT (On-the-Job Training):実際の仕事を通じて行う訓練
- OFF-JT (Off-the-Job Training):仕事から離れて行う訓練
中にも訓練の仕方により、さらに細かく分類できる。
- e ーラーニング (e-Learning):インターネットなどを利用して行う訓練
- アダブティブラーニング (Adaptive Learning):個々の学習者に合わせて最適化された訓練
# 経営組織
会社の中で、ヒトを配置することは重要である。
ヒトという経営資源の集まりを経営組織という。
現代社会には企業の大きさや業種ごとに、さまざまな経営組織が存在する。これは組織形態と呼ばれる。
主に IT パスポート試験で出題される組織形態は以下の通りである。
- 職能別組織
- 事業部制組織
- マトリックス組織
- プロジェクト組織
- 持株組織
職能別組織とは、業務を専門的な機能に分けて、各機能を単位として編成する組織形態である。例えば、営業部、製造部、総務部などである。
社員にはいろいろな専門分野があるため、社員の専門性を生かせることがメリットである。
それぞれ得意なことを担当することで、効率が上がる。
機能別組織ともいう。
事業部制組織とは、製品やサービスごとに事業部を編成する組織形態である。例えば、自動車事業部、家電事業部などである。
事業:複数の業務
- 業務:手作業とシステム
- 手作業:人が行う仕事
- システム:IT システムが行う仕事、つまりソフトウェアとハードウェア
試験に対して、事業部別組織の見分け方は:事業を「製品別」「顧客別」「地域別」に分けて、利益責任があることである。なぜかというと、職能別組織は経営者が意思決定を行うが、事業部制組織は事業部長に意思決定権があるからである。
マトリックス組織とは、職能別組織と事業部制組織の両方の特徴を持つ組織形態である。両方のメリットも享受できる
社員が両方に所属する。
マトリックス組織と事業部制組織の違いは、所属する部署の数である。
例えば、社員が「国内事業部」「営業部」に所属する場合はマトリックス組織であるが、「国内事業の営業部」に所属する場合は事業部制組織である。
プロジェクト組織とは、ある問題を解決するために、一時的に各専門家を集めて編成される組織形態である。
持株組織とは、子会社の株式を保有することで、子会社を支配する組織形態である。
例えば「OO ホールディング」という名前の会社は、持株会社であることが多い。
組織を持株組織にすると、企業の買収や合併がしやすくなるメリットがある。
以上で述べたいくつかの組織形態は、経営陣で管理する。経営陣は主に
- 最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer):業務の最終的な責任者
- 最高情報責任者(CIO:Chief Information Officer):経営資源の情報に関する責任者
- 最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer):技術戦略に関する責任者
- 最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer):経営資源のカネに関する責任者
# 業務分析と業務企画
パレート (Pareto) 図:棒グラフと折れ線グラフを組み合わせたグラフである。
最も重要なデータは横軸の左側に配置される。
パレート図を用いて ABD 分析を行うことができる:データの重要度に応じて、A、B、C の三つのグループに分類すること。
ヒストグラム (Histogram):データの分布を表すグラフである。
いくつかの区間にデータを分類し、各区間のデータの数を棒グラフで表す。
レーダーチャート (Radar Chart):複数の項目の値を放射状に表すグラフである。
データ全体のバランスを視覚的に把握することができる。
散布図 (Scatter Plot):二つの変数の関係を表すグラフである。
横軸に一つの変数、縦軸にもう一つの変数を配置し、データポイントをプロットする。
二つの変数の相関関係を示す
- 正の相関:データポイントが右上がりの傾向を示す
- 負の相関:データポイントが右下がりの傾向を示す
- 無相関:データポイントがランダムに散らばっている傾向を示す
散布図を用いて回帰分析を行うことができる:二つの変数の関係を数式で表すこと。
# 経営者の意思決定と問題解決手法
意思決定や、将来を予測するため、期待値が用いられる
問題を解決するための手法には、ブレーンストーミング (Brainstorming) が明記されている。
ブレーンストーミングとは、複数の人が集まって、自由にアイデアを出し合う方法である。
基本的なルールは以下の通りである。
- 批判禁止:アイデアを出す際に、他の人のアイデアを批判しないこと
- 質より量:アイデアの質よりも量を重視すること
- 自由奔放:どんなアイデアも歓迎すること
- 便乗 OK:他の人のアイデアに便乗して、新しいアイデアを出すこと
# 損益分岐点
IT パスポート試験では、損益分岐点の計算が必ず出題される。
先に会計に関する用語を説明する。
- 売上:商品やサービスを販売して得られる収入
- 費用:商品やサービスを売るため必要な金額、例えば、材料費、人件費、広告費など、費用は以下に分類される
- 固定費:生産量に関係なく一定の費用、例えば、家賃、保険料など
- 変動費:生産量に応じて変動する費用、例えば、材料費、労務費など
- 利益:売上から費用を引いた金額
損益分岐点とは、売上と費用が等しくなり、利益がゼロになる点のことである。
例:あるケーキ屋において、固定費用は 50 万円、ケーキを一個作るには材料費が 100 円かかるとする。ケーキを一個売ると 300 円の売上があるとする。
この場合、損益分岐点は以下のように計算される。
- 売上の直線:
- 費用の直線:
損益分岐点は、売上と費用の直線が交わる点である。
つまり、ケーキを 2500 個売ると、売上と費用が等しくなり、利益がゼロになる。
# 財務諸表と五つの利益
財務諸表とは、ステークホルダー(株主、従業員、顧客など)に対して、会社の財務状況を報告するための文書である。
というのは、経営者の成績表のようなものである。
つまり財務諸表を見ることで、会社の健康状態を把握することができる。
財務諸表は以下の書類のことを指す。
- 貸借対照表(Balance Sheet):会社の全財産、つまり会社の資産、負債、資本を表す表
- 損益計算書(Income Statement):会社の売上、費用、利益を表す表
- キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement):会社の現金の流れを表す表
貸借対照表では
- 左側に「資産」が記載される、これは会社が持っている財産のこと
- 右側に「負債」と「資本」が記載される
- 負債:会社が他人から借りているお金のこと、他人資本である、つまり返済する必要がある
- 純資本:会社が株主から出資してもらったお金のこと、自己資本である
左側の合計は総資産と呼ばれ、右側の合計は総資本と呼ばれる。
両側の合計は同じになる。
総資本に対して、自己資本の割合を自己資本比率と呼ぶ。
総資本に対して、もう一つ重要な指標は、売上の割合である。
損益計算書では、主に五つの利益がある。
一つ目は、売上総利益である。
- 売上高:商品やサービスを販売して得られる収入
- 売上原価:商品やサービスを売るために直接かかった費用、変動費とほぼ同じである
- 売上総利益:売上高から売上原価を引いた金額
二つ目は、営業利益である。
- 販売費及び一般管理費:商品やサービスを売るために必要な費用、固定費とほぼ同じである
- 営業利益:売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた金額
三つ目は、経常利益である。
- 営業外収益:営業活動以外で得られる収入、例えば、利息収入、配当金など
- 営業外費用:営業活動以外でかかる費用、例えば、利息費用など
- 経常利益:営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を引いた金額
四つ目は、税引前当期純利益である。
- 特別利益:通常の営業活動以外で得られる一時的な収入、例えば、資産の売却益など
- 特別損失:通常の営業活動以外でかかる一時的な費用、例えば、災害による損失など
- 税引前当期純利益:経常利益に特別利益を加え、特別損失を引いた金額
五つ目は、当期純利益である。
- 法人税等:会社が利益に対して支払う税金
- 当期純利益:税引前当期純利益から法人税等を引いた金額
キャッシュフロー計算書では、損益計算書でも判断できない会社のリスクを把握することができる。
例えば、世の中のよくあるのは:黒字(損益計算書では利益が出ている)が続いているのに、会社が倒産することがある。これは黒字倒産と呼ばれる。
なぜ黒字倒産が起こるのかというと、お金のやりとりはその場その場で行わず、未来に行われることが多いからである。つまり現金の流れが悪い
キャッシュフロー計算書では、主に三つの部分がある。
- 営業活動によるキャッシュフロー:会社の本業で得られる現金の流れ
- プラス:本業がうまくいっていることを示す
- 投資活動によるキャッシュフロー:会社の設備投資や資産の売買などで得られる現金の流れ
- マイナス:将来の成長のために投資していることを示す
- 財務活動によるキャッシュフロー:会社の資金調達や返済などで得られる現金の流れ
- プラス:資金調達がうまくいっていることを示す
- マイナス:借りたお金を返済していることを示す